私たちの心には顕在意識と潜在意識があります。顕在意識は論理的な思考や判断を行う部分。そして潜在意識は、感情、記憶、信念、直感、習慣、想像、体の機能のコントロールなどをつかさどる部分です。潜在意識にはどのような特徴があるのかを数回にわたってお話しています。
物事が論理的かどうか、一般的な意味で理にかなっているかを判断するのは顕在意識の働きです。潜在意識はそういった外の世界の論理ではなく、自分の心の中あるパターンや本能、欲求、感情、過去の記憶などを基準に働きます。
この働きの違いによって、私たちは葛藤を抱えることが多々あります。頭ではこうしたい、と考えていることがあっていても、心はその通りに働いてくれない状態です。
例えば、健康や節約のために禁煙した方がいいのは頭では分かっているのだけれど、なかなか踏み切れないというのは、潜在意識の中ではそういった理論が必ずしも通用しないからです。既に行動パターンとなっている喫煙の習慣や、吸いたいという気持ちは潜在意識の領域にあるので、理屈だけでは簡単に変えることはできません。
また、高所恐怖症の人は、論理的に考えれば危険性がない場所であっても恐怖心を感じてしまいます。顕在意識では安全と分かっていても、潜在意識の方では過去のきっかけに起因するパターンによって自動的に恐怖心が生まれてしまうのです。
深いリラクゼーション状態で潜在意識に働きかけるヒプノセラピーは、習慣を変えることへの不安を解放することや、恐怖心のもとになっている過去の記憶を理解することなどを通して葛藤に折り合いをつけ、望む方向に進みやすくしていきます。