第五十八回 分離や分断を超えて(1)
最近、新型コロナウィルスの影響による人と人との関わりの減少や、人種や政治思想の違いによる軋轢の増加によって、分離や分断を感じさせられる場面が増えています。
どうしたら私たちは分離や分断ではなく、よりバランスのとれた協力的な関係を築いていくことができるでしょうか?今回は自分と相手、社会、特定のグループの人たちとの関係のとらえ方を変える「ソーシャル・パノラマ」という手法についてお話ししたいと思います。
①まずは自分が空間にいるところをイメージします。前後、左右には360度の空間が広がっていて、それがあなたのメンタルスペースです。②まずは自分が属するグループは、その空間の中のどこに位置しているでしょうか?(回答例:自分のすぐ後ろ側に位置している)③それでは次に、あまりいいイメージを持っていないグループのことを考えます(例:特定の人種、自分に馴染みのない宗教を信じている人、自分と違う政党を支持している人など)。そのグループは自分から見て前後左右のどこに位置しているでしょうか?自分からの距離はどのくらいでしょうか?目線は自分と同じ、もしくは上か下でしょうか?どのくらいのスペースを占めていますか?④その位置がどんなふうに変わったらもっと心地よく、友好的な関係として感じられるでしょうか?(例:右側から左側に移動させ、距離を少し遠ざけ、スペースを小さくし、自分より高い位置にあったのを同じ高さにする)⑤人類全体を思い浮かべると、空間の中のどこに位置していますか?⑥人類全体のイメージを先ほどと同じように、自分が心地よいと感じられるように調節します。
そんなイメージをして本当に役に立つのかと思われるかもしれませんが、元々、分離も分断も私たちの意識が作り出した情報空間上の概念です。情報空間上の概念をイメージ法で変化させることで、実際に見方や感じ方が変わっていきます。次回も引き続きソーシャル・パノラマについてお話します。
第六十一回 分離や分断を超えて(3)