新型コロナウィルスの影響が出るようになってから寂しいなと思うことの一つが、人との関わりが格段に減ってしまったことです。友人や知り合いと会う機会が減ったのはもちろん、道で誰かとすれ違ったりする時にも、まるで避け合うかのように距離を保たなければならないのも何だか不自然で、心が痛みます。
また、アメリカの政情を見ても、どの政党、政治家を支持するかによって考え方が大きく異なり、世論は分断され、そこに埋められない溝があるような印象を受けます。人種の違いによる軋轢についても耳にします。どうしても分離や分断を意識せざるをえない場面が増えているように思います。
分離の意識を持つと、自分と相手は敵対し、限られた資源を奪い合う関係であると感じられます。そこには憎しみや不信感といった苦しい感情が生まれます。分離の逆は統合です。統合の意識を持つと、自分と相手は同じ人間という共同体の一員であり、協力によって新たな価値を生み出すことのできる関係となります。人間だけでなく動物、植物、自然、地球、はたまた宇宙まで、この世界は一つであるという「ワンネス」と呼ばれる考え方もあります。
私はすべての人に対して等しく完全な統合意識を持つべきだと思っているわけではありませんが、争いの少ない平和な世の中を望むのであれば、私たち一人一人が分離よりも統合の方に意識を向けていく必要があるでしょう。また、特定のグループの人達にあまりにも強い憎悪の感情を持ったり、社会から疎外感を感じていたりしていると、生きづらさの原因になってしまいます。心穏やかに生きていくためにも、分離と統合の間のどこかで、ほどよくバランスをとっていくことはとても大切です。
次回のコラムでは、自分と相手、社会、特定のグループの人たちとの関係のとらえ方を変えるソーシャル・パノラマというイメージ法についてご紹介します。