今年は、新型コロナウィルスに加えて山火事による空気の汚染など、様々な出来事が続いています。皆様も自粛生活に慣れてきたとはいえ、コロナ前はできていたことができなくなった、楽しみにしていたイベントがキャンセルになった、学校がオープンされない、馴染みのお店が閉店してしまった、などの様々な変化によって、喪失感や、モヤモヤした気持ちを感じていらっしゃるのではないでしょうか。今後の政情や経済状況の変化についても気になるところです。
私たち人間は、基本的には変化を嫌います。「ホメオスタシス(恒常性)」という性質があるため、無意識のうちに、これまでと同じパターンで生きようという力が働いています。これまでと同じ状況が続くことを期待し、状況が変わるとストレスを感じてしまいます。
ところが現実には「すべてが一定で変わらない」ということはありえません。まさに仏教の教えである「諸行無常---世のすべてのものは、移り変わり、また生まれては消滅する運命を繰り返し、永遠に変わらないものはない」という言葉の表す通りです。
長い目で見ると、地球の45億年の歴史の中では様々な天変地異が繰り返されてきました。20万年前にホモ・サピエンスが登場してからも、様々な苦難を乗り越えて今日の私たちがあります。変動する環境に合わせて進化し、困難を乗り越えてきたのが人類であり、私たちはそういった強さや適応力を持ち合わせているのです。
変化は時に痛みを伴うものであり、その痛みを認め、受け入れることも大切ですが、いつまでも痛みにうずくまっているのではなく、新しい状況に適応できる力の存在を信じることも大切だと思います。自分、他人、社会に対する「こうでなければならない」という制約を外して柔軟な物の見方をする、「長い目で見ればきっといい方に変わっていく」という希望を持つ、といったこともこの時期を乗り越えるのに役立つことと思います。