前々回のコラムに書いたように、潜在意識は簡単に書き換えられるものではありませんが、権威ある立場の人に言われると、それが真実として受け止められ、心の奥深くに刻み込まれやすくなります。
医師、弁護士、政治家のように「先生」と呼ばれる立場の人の言うことは、あまり吟味されることなく受け入れられる傾向があります。例えば、医師に余命宣告をされた後、小康状態を保っていたのにその時期が来ると衰弱して宣告通りになってしまう、といったことが起こります。
所属する組織の中で上の立場にある上司や指導者の指示に従って、法律に反する行為をとってしまった、というような話も聞きます。通常であれば当然行っているはずの善悪の判断を放棄してしまうのです。
また、小さな子供にとって、親や学校の先生などの大人は権威のある存在なので、言われたことは信念となって心の中に残り、大人になっても影響を与えます。「~すべき」「~でなければならない」といった固定観念や、ふとした思考や行動の出所を探ってみると、親や周りの大人の影響であることが少なくありません。特に子供は心が柔らかく、情報をどんどん吸収していく性質があるので、権威の影響を非常に受けやすいのです。
深いリラクゼーション状態で潜在意識に働きかけることで目標達成や問題解決を目指すヒプノセラピーは、知らず知らずのうちに誰かから与えられた思い込みを手放し、本来の自分の声に耳を傾けるよい機会となります。