前回のコラムでは、退行催眠(深いリラックス状態で、現在抱えている問題に関係のある過去の記憶の場面に戻るセラピー)をどのような流れで行うのかについてお話しました。今回は、なぜ過去の記憶に戻ることに意味があるのか、そのメリットについてお話しします。
➀問題の原因が分かる
なぜそういった問題を抱えるようになったのかが不明な場合は特に、セッションの中で問題に関係のある過去の場面が出てくると因果関係が分かり、なるほど、と腑に落ちる感じがあります。それだけでも問題解決や癒しにつながることが少なくありません。
②感情を解放できる
過去の出来事が起こった時に感じたネガティブな感情(恐怖心、怒り、悲しみ、罪悪感、不安、屈辱、無力感、孤独感など)がその場、もしくはその後で発散/解消できていなかった場合、現在まで心の中に残り、長く続く苦しみの原因になっている可能性があります。
セラピーの中で、その時に感じた強い思いを言葉や体で表現する(言えずにいたことを声に出して言う、怒りの感情をクッションを叩いたりして発散するなど)と心がすっきり軽くなります。そしてそれ以上その感情によって苦しめられることが少なくなります。
③過去の出来事を「終わったこと」にできる
過去を引きずってしまうのは、自分の中でその出来事に決着がついておらず、今でも無意識のうちにネガティブな感情やパターンが呼び起こされてしまうからです。過去に起こった出来事そのものを変えることはできませんが、セッションにおける因果関係の理解や感情の解放を通して、その過去を「現在も自分を苦しめ続けるもの」ではなく「過去の出来事の一つ」として見られるようになると、ネガティブな感情や思い込みに囚われる必要がなくなり、すっきりとした気持ちで前に進んでいくことができるようになります。