第七回 ヒプノセラピーの用途 (5) ダイエット

* サンフランシスコ・ベイエリアの情報誌、J-Weeklyに毎月連載しているコラムです。

深いリラクゼーション状態で潜在意識に働きかけることで目標達成や問題解決を目指すヒプノセラピーには、実に様々な用途があります。数回にわたり、代表的な例をご紹介していきたいと思います。

今回ご紹介するのはダイエットです。

ダイエットの成功の秘訣は、２つあると考えています。まず一つ目に、ダイエットを始めることへの不安を取り除くことが大切です。セッションではまず、ダイエットを始める前に、潜在意識の中にある不安（ダイエットはつらいのではないか、どうせ失敗するのではないか）や矛盾する思い（魅力的になって注目を浴びるのが怖い等）がないか確認し、もしあればヒプノセラピーによってそういった気持ちに折り合いをつけていきます。

二つ目には、ダイエットを継続する時に感じるストレスを軽減することが重要です。ダイエットは適切な食生活、運動など、健康的な習慣を積み重ねていくことによって成果が出ますが、新しい習慣を始め、続けることにストレスや苦痛を感じれば感じるほど継続が難しくなります。例えば、人は食べたい物を我慢するストレスを感じると、余計に食べたくなり、途中で挫折したり、せっかく体重を減らせてもリバウンドしたり、といったことが起こります。
​
セッションでは話し合いの中で、クライアントさんに合った、生活の中に取り入れやすい行動目標をいくつか決めていきます。そして、例えば「甘いものを減らす」という目標を立てるのであれば、ヒプノセラピーの中で潜在意識に対し「甘いものよりも野菜スティックが食べたくなる」「甘いものを食べるときはほんの少量で深い満足感を得られる」といった働きかけを行います。そうすることで、意志の力だけでつらい制限をする時よりも、自然に無理なく実行できるようになります。ストレスや苦しみではなく、理想の自分に近づく喜びを感じながら行動できるため、成功率がぐっと上がってきます。