すっかり忘れていた過去の記憶が、ふとしたきっかけでよみがえってきた、という経験をされたことがあると思います。なぜこういうことが起こるかといえば、私たちは過去の出来事をすべて潜在意識の中に記憶しているからです。生まれた時からこれまで見たこと、聞いたこと、経験したことなど、はっきりと顕在意識で思い出せる記憶の何倍もの量の情報が蓄積されていると言われています。
膨大な量の記憶は知らず知らずのうちに私たちの思考や行動に影響を与えています。例えば、自己肯定感が低い理由を探ってみると、子供の頃、親から愛されていないと感じる出来事があった、というパターンがよくあります。また、人前で話すのが苦痛な理由は、間違いや失敗を笑われたり叱責されたりして自信をなくしたことがきっかけになっている場合がとても多いのです。
過去の記憶を探ることはヒプノセラピーの得意分野です。もちろん過去に起こったことを変えることはできませんが、過去の解釈を変えることはできます。セッション中、深いリラクゼーション状態になると潜在意識が活発になるため、「現在抱えている問題に関係のある過去の記憶の場面」にすっと戻ることができます(顕在意識がそれを覚えていなかったとしても)。そしてその場面で起こったことを大人の目で理解し、誤解があれば解き、その時のつらい感情を解放することで、心を軽くしたり、問題解決につなげたりすることができます。