トラウマは、精神的に大きな衝撃を与えるような出来事がきっかけとなり、時間が経っても後遺症のように影響が残ることで、心的外傷と訳されます。例えば、学校でいじめを受けたことがトラウマとなって人間関係に不安を抱きやすい、といった場合です。
最近日本で話題のアドラー心理学では、興味深いことにトラウマの存在を否定しています。「トラウマなど存在しない」というのは極端な言い方ですが、「過去に何があったとしても、過去の出来事への解釈を変えることで、幸せになることが可能である」という意味においては希望のメッセージと受け取ることができるでしょう。
ただ、「解釈を変えればよい」と分かっていても意思の力(顕在意識)だけで変化を起こすのは難しい場合もあります。過去の記憶やつらい感情はもっと心の奥深く、潜在意識の中に存在するからです。
ヒプノセラピーではトラウマの原因となる出来事が起こった時の記憶に戻り、その時に感じた強いネガティブな思い(恐怖心、怒り、悲しみ、罪悪感、不安、屈辱、無力感、孤独感など)を言葉や体で表現することによって解放できるようにします。また、その時の状況を現在の自分の観点で分析し、「同じことが起きる可能性は限りなく低いし、起こったとしても今の自分は違った方法で対処できる」ことを潜在意識のレベルで理解していきます。それによって、過去の出来事そのものは変わらなくても、その出来事が現在の生活に与える影響を軽減することができます。