以前も潜在意識は頻繁にコロコロ変化する性質のものではなく、簡単には変わらないということをお話ししましたが、今回はその理由についてご説明したいと思います。
人間の身体には、環境が変化しても状態を一定に保とうとするホメオスタシスという仕組みがあります。よく知られているのが、暑い時は汗をかき、寒い時は震えたり体を縮めたりすることによって体温を一定に保とうとする機能です。
心にも同じような仕組みがあります。あまり好ましくない状況にあって、それを変えたい思いがあったとしても、潜在意識にとっては、その状況が「慣れ親しんでいるコンフォートゾーン」になっており、無意識のうちにそれを維持しようとします。たとえそれが自分にとってポジティブな変化であっても潜在意識がなかなかGOサインを出してくれないのは、人間が本能的に変化を嫌う傾向があるからなのです。
具体的に言えば、新しいことを始めようとしたり変化を起こそうとしたりすると、ストレスや不安などのネガティブな感情を感じ、行動を起こしにくくなります。様々な言い訳を見つけて現状にとどまってしまいがちになるのです。
そのような時に自分の意思の弱さを責めても、ブレーキを踏みながらアクセルを踏んでいるようなもので、余計にストレスや不安を感じてしまいます。深いリラクゼーション状態で潜在意識に働きかけるヒプノセラピーでは、心の中にある、変化を妨げようとする思いを理解し、不安を軽減することで、顕在意識と潜在意識が同じ目標を目指して進んで行けるようにしていきます。