子供はある意味「常に催眠状態にいる」と言われることがあります。催眠状態とは顕在意識よりも潜在意識が活発になっている状態です。顕在意識は論理的な思考や判断を行う部分、そして潜在意識は感情、記憶、信念、直感、習慣、想像、体の機能のコントロールなどをつかさどる部分です。子供はあれこれ頭で考えたりするよりも、本能のまま自然体の状態でいることが多いですよね。これは催眠の状態に近いとも言えるのです。
大人の潜在意識は、コロコロ書き換えられてしまうことのないように顕在意識にガードされています。顕在意識は、新しく入ってくる情報に対して、常にチェック体制を働かせており、自分の既存の価値観に合致しなければ、すぐに違和感を感じ、心の奥深くまで受け入れることはありません。
一方で、子供は新しい情報をどんどん吸収して学ぶ必要があるので、大人のように顕在意識にガードされておらず、柔らかい頭、柔らかい心のまま過ごしています。それは周りの人、特に親や先生など立場の強い人に言われたことが、ストレートに心の中に入ってきてしまう、つまり洗脳されやすい状態でもあります。
また、いじめや虐待はもちろんのこと、大人にとってはたいしたことのない出来事でも子供はトラウマを受けやすいという特徴もあります。なぜなら①子供は大人より自分を守る力弱く、脅威を感じやすい、②状況を理解する力が未熟なため「自分のせいで悪いことが起こった」のように誤解しやすい、③前述のように顕在意識によるガードがないため、精神的に衝撃を受けやすい、といった要因があるからです。
誰しもそのような子供時代を経て大人になっていくわけですが、やはり小さい頃からネガティブな洗脳を受けて育った人や深刻なトラウマを抱える人はその後も自己肯定感が低く、生きづらさを感じ続けることが多いのです。次回は周りの大人がどんな工夫をすればよいかをお話したいと思います。