前回はどのようにしてトラウマが残るのか、そのメカニズムについてお話しました。今回はトラウマを軽減する方法をご紹介します。
➀過去の記憶に戻る。トラウマの原因となる出来事が起こった時の記憶に戻り、その時に感じた強い思い(恐怖心、怒り、悲しみ、罪悪感、不安、屈辱、無力感、孤独感など)を言葉や体で表現することによって解放します。また、その時の状況を新しい観点で分析し「今後同じことが起きる可能性は限りなく低いし、起こったとしても今の自分は違った方法で対処できる」ことを潜在意識のレベルで理解していきます。
②イメージ法を使う。トラウマのきっかけを「過去の既に終わった出来事」と捉えることができるようにイメージします。例えば、自分が過去の出来事のビデオを見ているところを想像し、さらにそれを早送りしたり巻き戻ししたりするイメージをすることで、記憶の性質を変化させます。➀のように過去の記憶を具体的に思い出す必要がないため、比較的取り組みやすい方法です。
③EMDR(Eye Movement Desensitization and Reprocessing)ネガティブな記憶を思い浮かべながら、セラピストの指の動きを目で追い、左右や上下に動かすことで、脳による情報の処理を促します。なぜ効果があるのかは正確には分かっていませんが、眼球の動きがきっかけとなり、脳の中でレム睡眠の時と似たような情報整理が行われるためと考えられています。
3つの方法に共通しているのが、出来事を「過去のこと」として捉えられるようになることです。過去に起きたこと自体は変わりませんが、その出来事が現在の生活に与える苦しみの軽減が期待できますので、トラウマのお悩みがある方はぜひご相談ください。