今回ご紹介するのは恐怖症の緩和です。
恐怖症には高所恐怖症、閉所恐怖症など、いろいろなものがありますが、頭ではそれほど恐れる必要はないことが分かっていても、恐怖心をなくすのは簡単ではありません。何故なら、恐怖心や、それを引き起こす原因は潜在意識の中にあるからです。そこでよく使われるのが、潜在意識にアクセスすることのできる催眠療法です。
恐怖症へのアプローチはいくつかありますが、Desensitizationと呼ばれるプロセスがよく行われます。恐怖症を持つと、普通の人には何でもないような場面にも過敏に反応して恐怖心を感じてしまいますが、催眠でイメージ法とリラクゼーションを取り入れることによって、そういった反応を少しずつ緩和していくことができます。
また、恐怖症の多くは、過去の体験(特に自分で状況をコントロールできなかった子供時代の経験)が元になって起こります。自分の恐怖体験はもちろん、周りの人が体験したことや、テレビで見たことでさえ、きっかけになることがあります。催眠のセッションの中で、原因となる場面に戻り、起こったことを客観的に理解してその時感じた強い感情を解放することで、恐怖症を緩和、解決できることがよくあります。
もちろん過去に起こった出来事そのものを変えることはできませんが、意識の深いレベルにおける理解や感情の解放を通して、その過去を「現在も自分を苦しめ続けるもの」としてではなく、「過去の出来事の一つ」として見ることができるようになるのです。そして、大人になった今、常識の範囲で危険を避けながら普通に生活していれば、恐れていることが現実に起こる確率は限りなく低く、安全であることを実感できるようになります。