第十回 ヒプノセラピーの用途 (8) 人間関係の改善

深いリラクゼーション状態で潜在意識に働きかけることで目標達成や問題解決を目指すヒプノセラピーには、実に様々な用途があります。数回にわたり、代表的な例をご紹介していきたいと思います。

今回ご紹介するのは人間関係の改善です。中でも家族（特に親、配偶者）との関係や、職場での対人関係に悩みを持たれている方はとても多いと思います。

人間関係における課題はケースバイケースですが、もし過去の出来事が原因となってわだかまりが残っている場合、催眠のセッションの中でその過去の記憶の場面に戻る「リグレッション」が効果的な方法の一つです。その場面で何があったかを理解し、想像上の対話の中でこれまで言いたかったことを主張する。それによって、心の奥底に溜まっていた感情が解放され、つらい思いも癒されていきます。そしてその人に対するわだかまりがなくなった時、新たなよりよい人間関係を築いていくことができるようになります。

また、セッションの中で「誰かを許す」ことで心が楽になることもよくあります。例えば、ある人が過去にあなたにひどいことをし、もうその人に会うこともないのに今でも怒りや恨みを感じているとしましょう。その怒りや恨みの感情に苦しめられるのは誰でしょうか？他でもないあなた自身です。そんな時は、その人を許すことでネガティブな感情が解き放たれ、心が軽く楽になります。もうその人のことを思い出すことがなくなるか、ふと思い出してもネガティブな感情が湧かなくなります。今まで苦しめられてきたその人から、ついに自由になることができるのです。

現在の人間関係を改善するには、催眠の中でその人との対話をする方法があります。不思議なことに、相手と直接話す時よりも冷静に相手の立場や考えを理解し、効果的な解決策を見出せることがよくあります。