前回コラムでは、私たちは誰もが「これまでの通常の生活」を喪失している状態にあるので、その悲しみを認め、それを感じる自分を受け入れることの大切さについてお話させていただきました。今回は、Shelter-in-Placeが始まって2ヶ月以上経った今、毎日を前向きに過ごすにはどうしたらいいかについて考えたいと思います。
例えば、自宅でリモートワークをしながら子供の自宅学習の手伝いや世話、一日三食の準備、家事をしているケースで考えてみましょう。どれも完璧にするというのは不可能に近く、「仕事に集中できない、子供とじっくり向き合う時間がない、家事もなかなか終わらない、家は片付かない・・・」というように、思ったように物事が進んでいかないイライラを募らせている方も多いのではないでしょうか(私もイライラしてしまう場面はしょっちゅうあります)。
そのような方にお勧めなのが、どんなに小さいタスクでも数えながらやっていくことです。やり方は簡単で、例えば洗濯物を畳んでいるとしたら、一つの物を畳むたびに心の中で1カウントずつ増やしていくのです。Tシャツが5枚あったら、1、2、3と数えながら5までいく。同様にゴミを一個捨てる、部屋の物を一個片付ける、といった小さな作業のたびにカウントしていきます。面倒な作業はカウントを多くしてもいいですし、数が分からなくなったらまた適当なところから始めます。
これをすることで、着実に作業が進んでいるという満足度や達成感が上がります。途中で子供の邪魔が入っても「作業がまだ1つも終わってないのに!」ではなく「今25まで進んでいる」と思えます。また、数えることでイライラ思考を止め、作業に集中する効果もあります。
あれもできていない、これもできていない、と引き算をしながら過ごすより、一つ一つ時間を重ねていくような、足し算の生活をしたいものですね。